<はじめに>
梅林寺は、久留米市京町にあります。JR久留米駅に近く、徒歩で5分程度の距離にあります。臨済宗妙心寺派のお寺です。
寺の起源は、久留米藩の初代藩主・有馬豊氏に由来します。このお寺は、有馬氏の菩提寺であり、有馬家一族が眠っているお墓があります。「寺号の由来」については、次章で詳述します。
門前の通りは、車がひっきりなしに往来し騒がしいのですが、ひとたび寺に入れば境内は広く、静寂が広がり厳粛な雰囲気が漂います。
寺号の由来
梅林寺は、梅林があるから梅林寺と名付けられたわけではありません。関ケ原の戦いの後にその功績を認められて、久留米の土地を封じられた有馬豊氏が、故地丹波福知山の瑞巌寺を久留米に移し、父の法号(戒名)にちなんで、「梅林寺」と改名しました。
梅に関する歴史は比較的新しく、昭和33年に記念事業の一環として、市民が集う公園として開放された後に、多くの人々から献木があり、そして現在の立派な梅林ができ上がったのです。当然人々は、寺の名前にちなんで、庭先にあった梅の木を寄贈したことは想像に難くありません。
修行道場
このお寺は、修行の厳しい禅寺として知られています。明治時代に禅堂を開いたことで、多くの禅僧が修行に訪れ、優れた禅僧を育てたことで、九州屈指の禅道場となりました。今でも九州の代表的な修行道として、その名が知れ渡っています。
梅林寺外苑
梅林寺外苑とお寺とは塀で仕切られています。梅林寺外苑には、たくさんの梅と久留米つつじなどが植えられており、今では市民の憩いの場となっています。
梅林寺の梅は各方面にかなり知られており、梅の花が咲くシーズンになると、多くの観光客が訪れます。約30種500本の梅が植えられており、梅に関しては久留米で一番の観光スポットとなっています。もちろん入場料は無料です。
西側には筑後川が流れ、素晴らしい景色が広がっています。苑内には数多くのベンチが用意されており、ゆっくりと休憩することができます。
それから、ここには「梅苑」というお洒落なカフェがあります。メニューは少ないですが、ソフトドリンクと軽食を楽しむことができます。
夏目漱石
梅林寺外苑内に、夏目漱石の句碑が建立されています。え、夏目漱石?となりますよね。実は夏目漱石は、何度か久留米を訪れています。それは久留米出身の親友がいたからです。漱石は帝国大学(現東京大学)時代に、2年先輩だった菅虎雄と知り合い、菅とは生涯に渡って親友であり続けました。
夏目漱石は、明治29年に福岡旅行した際に、久留米に来て梅林寺に立ち寄っています。その福岡旅行は新婚旅行であったとも言われていますが、まさに夏目漱石と久留米の縁を結んだのが菅虎雄だったのです。
そして、夏目漱石が梅林寺住職の説法を聴いた後に詠んだ句が、梅林寺外苑に句碑として建立され残されています。