はじめに
坂本繁二郎は、久留米出身の画家で、牛や馬といった動物や能面や月などを描いた作品を数多く残しました。
同じ時代を生きた青木繁は、高等小学校の同級生で、無二の親友且つライバルであったと言われています。
青木は28歳という若さで夭折しましたが、坂本は87歳まで生き、長寿を全うしました。失意のうちに亡くなった青木に比べて、坂本の人生は文化勲章を受章するなど、恵まれた人生であったと言うことができます。
2人の天才の明暗を分けたものは何だったのでしょうか。健康・性格・運など様々な要素が考えられますが、一生懸命に生きてもほとんど報われなかった青木には、世のはかなさを感じます。
坂本繁二郎の略歴
1882年 3月2日久留米市京町に生まれる
1891年 両替尋常小学校を卒業
1895年 久留米高等小学校を卒業
1900年 久留米高等小学校の図画代用教員となる
1902年 上京し、小山正太郎が主宰する不同舎に入門
1910年 1月4日いとこにあたる権藤薫と結婚
1913年 4月24日長女・栞が生まれる
1919年 11月21日次女・幽子が生まれる
1921年 フランスへ留学し、シャルル・ゲランに師事
1924年 9月久留米に帰郷
1931年 八女市にアトリエを建立。以降、制作拠点となる
1932年 第19回二科展に「放牧三馬」を出品
1937年 第24回二科展に「水より上る馬」を出品
1954年 4月八女市名誉市民となる
1956年 文化勲章を受章
1961年 11月八女市西公園に銅像が建立される
1969年 7月14日87歳で死去
坂本繁二郎の代表作
フランス留学から帰国し、八女に落ち着いた頃から、馬を描いた作品を多く制作しています。なかでも八女に移って間もなく、1932年に描かれた「放牧三馬」や1937年の「水より上る馬」が代表作と言われています。
ある評論によれば、九州の大自然の中で、のびのびと過ごす馬を描いたこれらの作品は、単純化された色彩、特に黄土色や青緑色などを多く使って、淡く優しいタッチで制作されていると評価されています。
坂本繁二郎生家
坂本家は代々、久留米藩に仕えてきた150石の家柄。建物は、茅葺と瓦葺が結合した屋根を持つ、木造一部二階建て。現在は久留米市に唯一残る武家屋敷で、平成15年7月28日に久留米市の有形文化財に指定されました。
平成18年度から保存整備事業が開始され、極力古い部材を再利用し、伝統的な工法を用いて、建て直されています。建物面積は、243.4㎡、敷地面積は、1492.88㎡です。
閉館日は月曜日(休日の場合は翌日)で、入場料は原則、高校生以上210円、小中学生100円となっています。(団体割引あり)